『懲畏秘録』

　その２１

史　料	釈　文	註
42	最早堪忍難成、湯武之勢、孔孟之徳ハなけれ共、無拠天 　　下之ためと存、血族の禍をおかし、此度有志之者と申合、 　　下民を悩し苦め候諸役人を先誅代いたし、引続き驕に長 　　し居候大坂市中金持之丁人共を誅戮およひ可申候間、右 　　之者ども穴蔵に貯置候金銀銭等、諸蔵屋敷内に隠置候 　　俵米、夫々分散配当いたし遣候間、摂河泉播之内、田畑 　　所持不致もの、たとへ所持いたし候共、父母妻子家内之養育 　　難出来程之難渋者へハ、右金米等取らせ遣候間、いつにても 　　大坂市中に騒動起り候と聞伝へ候ハゝ、里数を不厭、一剋も 　　早く大坂へ駈向可参候面々へ、右米金を分け遣し可申候、	大塩檄文 向江 強 「檄文について」 誅代 誅「伐」 が正しい
43	鉅橋鹿台之金粟を下民へ被与候遺意にて、当時之飢饉 　　難義を相救遣し、若又内器量才力等有之ものハ夫々取立、不道 　　之者どもを征伐いたし候軍役にも遣ひ申へく候、必一揆蜂起之 　　企とハ違ひ、追々年諸役に至るまで軽く致し、都而中興 　　神武帝御　政道之通、寛仁大度之取扱にいたし遣、年来 　　驕奢淫逸之風俗を一洗相改、質素に立戻り、四海万民 　　いつまでも天恩を難有存、父母妻子を救ひ、死後之極 　　楽成仏を眼前見せ遣し、尭舜　天照皇大神之時 　　代に復しがたく共、中興之気象恢復とて立戻り可申候、 　　此書付、村々ヘ知らせ度候得ども、数多之事故、最寄之人家	年諸役 年「貢」諸役 が正しい

『懲畏秘録』凡例・目次/その２０/その２２

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