『浪華姦賊罪案』　その３４

史　料	釈　文	註
	右代金施行致し、一己之慈善ニ申成、又ハ軽キ身分をも不顧、 御政道を批判致し、救民計義と偽唱、奉行を討取、大坂 御城を始、市中をも焼払、豪家の金銀貧民江分遣し、 一旦摂州甲山江可楯籠抔無思慮大言を申述、其上反賊の 名目を厭ひ、愚民を惑乱為可為致ため、不軽文言認載候檄文 を彫刻致し、右企同志之義申勧候不容易儀と乍心附、 右欺謀を信し、師命難背抔存迷、銘々一味連判致し 剰徒党発起之節、人数ニ加り候者共も、平八郎差図ニ随ヒ、 一同兵具を帯し、鎗長刀を携へ、百姓共申威、多人数徒党ニ 引入、大筒等打払ヒ、市中放火及乱妨、捕方役等江致敵対致候
	始末、不恐　公儀仕方、重々不届至極ニ付、瀬田済之助外拾五人 ハ、塩漬之死骸引廻之上、於大坂磔ニ行ひ、利三郎も死骸腐 爛不致候ハゝ、同様可申付処、吟味以前病死致間、墳墓取毀 申付候もの也、 　　戌九月 私云、右ノ條ハ、江戸日本橋捨札ノ写シ也、但シ此時捨札三枚出ル第一枚ハ 平八郎格之助父子、第二枚目ハ竹上万太郎一人也、第三枚目ハ瀬田済之助 ヨリ無宿正一郎ニ至ル、右ニ挙ル通リ也、大塩父子、竹上ハ前書ニ挙ル御仕置 書ト文体聊違ナシ、故ニ畧之、按スルニ万太郎一人別札ニ姓名出ル儀ハ、此内 存命ニテ現身死罪ハ、右ノ者一人ナル故、右ノ如ク別札ニ認メタル事ト見ユ、 　　是ヨリ下三十七紙ハ、閣老浜松侯留帳ノ秘書ナリ、密々久 　　世君ヨリ借鈔スル所、左ノ通リ、

『浪華姦賊罪案』目次/その３３/その３５

古文書館玄関へ