『浪華姦賊罪案』　その５８

史　料	釈　文	註
	彦根之藩宇津木敬次ハ武者修行之志有之候ニ付、若父江 　三ケ年之暇を願ひ、四ケ年以前国元出立、先大塩江罷出候処、 　大塩与師弟之契約仕置、直ニ西国江出行、留年最早帰国 　年頃ニ付、大塩迄立戻候由、 　　　　 一　筆認残し申候、追日暖和ニ相成候得者、御両親様奉始、益御機 　嫌能、被成御坐候奉恐悦候、然者私儀先達而小倉表より 　申上候通、雨天続ニ候得共、日積大体十七日之夕刻大坂 　安治川江着船仕候、四ヶ年以前出立之砌、師弟之契約仕候大坂 　天満与力大塩平八郎方江着任、久々ニ而面会仕候処、如何成 　天魔身ニ候哉、平八郎存外之企有之、大坂町奉行討取、
	其外市中放火致し、　御城を乗取可申抔与全く謀反之 企ニ而、私荷担可致旨談而、申聞候ニ付、種々諌言致候得共、申出 候事かへさぬ気症故、容易ニハ承知仕間敷奉存候、乍併此儘 見捨私帰候而者、武士道不相立、其上如斯大望相明し 候事故、生きて返し申間敷、乍去荷担仕候得ハ、第一御家 之御名を穢し、忠孝之道を背キ、師を見捨候而者、儀相立 不申、無拠一命を差出し、今夜平八郎始、徒党之者江 得与利害を申聞、忠孝仁義相立候やう仕度奉存候、 何共重々恐入候儀ニ御座候得共、　御前万端益御機嫌 奉願上候、是迄重々厚キ御慈愛を蒙、私帰国も無程

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