『浪華姦賊罪案』　その７２

史　料	釈　文	註
	私儀、先達而小倉表申上候通、雨天続候 得共、日積大体十七日之夕刻大坂安治川へ 着船仕、四ケ年以前出立之砌、師弟の契 約仕候大坂天満与力大塩平八郎方江着 仕久々ニ而面会仕候処、如何成天魔身入候 哉、平八郎存外之企有之、大坂町奉行討取、 其上市中放火致し　君を誅し、民を吊 なとゝ全謀反之企ニ而、私荷担可致者、強而 申聞候間、種々諌言致し候へ共、申出せし事、 かえさぬ気症故、容易ニ者承知仕間敷与奉 存候、併此儘見捨私帰り候而者、武士道不相立、
	其上如此大望を打明候故、平八郎ニ候者、私不 承知之上ハ、生而返シ申間敷候、乍去荷担仕候へハ、 第一　御家之御名を穢し、忠孝之道ヲ背キ、 師を見捨候而者、義相立不申、無拠一命を差 出し、今夜平八郎始、徒党之もの共江、得与利害 申聞、忠孝仁義相立候様仕度奉存候間、何共 重々恐入候儀ニ奉存候得、　御前万端宜 御機嫌奉願候、是迄厚キ御慈愛を蒙り、 私帰国も無程儀与御待も被下候儀与存候へ共、 猶更故郷難忘事、未練之者与思召、恥入候、仕合ニ 御座候、かゝる時節ニ参り合候者、全私武運ニ

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