『浪華姦賊罪案』　その７３

史　料	釈　文	註
	尽候儀与存候、且友蔵義、永々旅中厚世話い たし呉、其上昨年私不快之節抔、別而厚 介抱不致し候一礼も不申、相別申候、宜御伝へ可被下候、 様子具ニ申上度候へ共、何れ即日御地へ相知レ可 申候間、不申上候、大坂騒動与御承知被下候はゞ、敬治 相果候義与思召可被下候、最早時刻ニ相成、 心急キ荒増申上候、余者御察奉願上候、以上 　　二月十八日　　　　　　　　　　　宇津木敬次 　　　　御一統様 右敬次 小者友蔵二月廿二日、大坂町奉行所ニお いて、吟味之節、兼而召捕ニ相成候庄司 義左衛門呼出、敬次之様子相尋候処、同十八日夜、
	平八郎父子其外一味之もの列席へ敬次罷出、 種々致異見候へ共、聞入無之、敬次便用ニ立候 跡ニ而、平八郎申聞候者、敬次最早生てハ帰しか たき、誰ニ而も討留可申者申聞候処、大井正一郎 承り、刀追取、立出候ヲ、平八郎声掛、太刀打ハ 無覚束、鎗ニ而突留よと申候へハ、心得鎗引提、 敬次手ヲ洗居候処へ立寄、正一郎大音ニ宇津木氏 一命ヲ先生ニ給れと、鎗を持、突懸候処、敬次 聞とつかと座し、両肌押しひろげ、腹突出し、 御存分にといふ間もなく胸板突通し、直ニとゝめ の鎗、其儘相果候由、儀左衛門申立候、

『浪華姦賊罪案』目次/その７２/その７４

玄関へ