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　　　猪飼野周辺

　　　　　木村権右衛門邸内神木/御幸森天神宮

木村権右衛門邸内神木　　生野区

大塩の乱の首謀者木村司馬之助の本家権右衛門の邸内の樹齢４００年と伝えられる椎の木。

　御幸森(みゆきのもり)天神宮　　生野区桃谷三丁目

猪飼野村全域の氏神で、木村司馬之助の本家の寄進した標柱(しめばしら)などがある。

木村司馬之助　本町木村権右衛門の分家にして、天保の頃は庄屋を勤め、大塩宅に往来せり。或時一室に呼ばれ、連判状に血判を迫られ、且本家を誘ふべき命を受けて之を通ぜしが、本家は事の大なるを以て、逡巡決せず、交渉中騒動勃発し、遂に軍用金として分家は百両を出金し、司馬之輔之に赴き、本家は加入を拒否せる代償として五百両を出せり。乱平ぎて後司馬之輔は己罪を負ひ本家を免れしめて捕へられ牢死す。大塩氏の罪定まるや塩漬の死体は市中引廻しの上磔せられたり。息司馬太郎、当時八歳、本家預となり、十五歳に及び大隅国熊毛郡上屋久島に遠島に処せられたり。維新後赦免となり、一旦帰国せしが、再び同地に赴き、権右衛門は司馬之輔を徳とし、三百石の船を造りて贈しと云ふ。司馬太郎は島地に於て日高氏に入夫し之を姓とす。孫和歌之助、大正八年七十一歳尚生存し、本町木村家と今尚音信を絶たず。鶴橋町墓地に左の墓石あり。権右衛門之を管理す。

　　　釋　浄　円
　　　　　天保二辛卯年季春
　　　　　　　　　　　木村司馬輔光房建之

　尚、清水村人物橋本忠兵衛條参照すべし。

　　　（『東成郡誌』1922　より）

　2001.6撮影

　禁転載　　Copyright by 曾根崎新地のひろ

相蘇一弘「大塩の乱の関係者一覧」その１ 「１２　木村司馬之助」