『天酉記　大塩平八郎義挙録』

　その１６

史　料	釈　文	註
	ひ、孔孟之徳なけれとも、天下の為、血族之禍 ひお犯し、此度有志輩と申合、下民を悩し苦し め候諸役人ともを誅伐し、引続て奢に長せし 大坂市中之金持之町人共を誅戮におよひ候、右之者 共貯置候金銀銭等、諸蔵屋敷に隠し置候俵米を、 夫々分散配当して遣候間、摂河泉播之内、田畑 所持なき者、又ハ地面あり共、父母妻子家内之養方 難出来者ハ、右之金子俵米取らせ候間、大坂市中騒動 起り候と聞ハ、里数を不厭、早く大坂へ近可参候面々に金銭 米を分け遣し候、是則鉅橋廉台之粟を下民へあたへ
	られ候遺高にて、当時之飢饉なんきを救ひ 遣し候、若又其内に器量才力あるものは夫々に取立、 無道者共征伐之上ハ、運〔軍〕役にも遣ひ可申候、必一揆蜂 起之企とハひ、追々年貢諸役等も軽くして 可遣候、都而中興 神武帝御政道之ことく、寛仁大度の取扱ひして 至し候事、驕奢淫逸の風俗一を洗に相改、質素に 立戻り、四海万民いつ迄も天恩を難有思ひ、父 母妻子をも養ひ、生前之地獄を救ひ、死後之極楽 成仏を眼前に見せしむ、尭舜天照皇太神宮

『天酉記』目次/その１５/その１７

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