『天酉記　大塩平八郎義挙録』

　その１７

史　料	釈　文	註
	之時代に復しかたくとも、中興之気象に恢復 し可申、此書付村々ヘ一々に知らせ度候へ共、数多之事 にて候故、最寄之人家多き村方之神殿に張 置候間、大坂より廻し有番人ともの眼に付、大坂 四ケ所之奸人共へ注進に及候ハゝ、面々申合、無遠慮番 人ともを打殺可申候、右騒動起り候共、煩惑して、 駈参り不申、又ハ遅参におよひ候ハゝ、金持供之金銀 米銭、皆火中の灰になり、天か下の宝を失ひ候、跡 にて我等を恨み、宝を捨る無道者といふ事なかれ、 其為一同に触しらせ候、尤是村方に有年貢
	之候諸記録帳面焼捨へし、是ハ往々深き慮り有、 人民を困窮させましき為や、乍去此度の一挙、 本朝平将門、明智光秀、漢土之劉裕、朱全忠之 謀反に類ひと申者有之道理、我等一同心中に天下 国家を簒盗する慾念越り候事更ニなし、日月 星辰も神鑑あり、詰る所ハ、湯武、漢高祖、明太 祖、民吊、君を誅し、天罸を執行ひ候誠心而已、 若疑かハ敷覚候ハゝ、我等所業終る所を爾等 眼を開看	天「討」 が正しい

『天酉記』目次/その１６/その１８

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