Я［大塩の乱資料館］Я
2015.3.28

『懲畏秘録』
　その１９

史　料釈　文　註　

38
　　切の政事に携候諸役人とも、賄賂を公に授受とて贈貰い　　たし、奥向女中之因縁を以、道徳仁義をもなき拙なき身　　分にて、立身重き役に経上り、一人一家を肥し候工夫而已にて　　智術を運し、其領分知行処之民百姓どもへ過分之用金　　申付、是諸役の甚しきに苦しむ上え、右の通無体之義を　　申渡し、追々入用かさみ候ゆへ、四海の困窮と相成候ニ付、人々　　上を怨さるものなき様に成行候得共、江戸表より諸国一統　　右之風儀ニ落入、天子は足利家已来別而御隠居同様、　　賞罸之柄を御失ひニ付、下民の怨、何方へ告愬とてつけ訴　　ふる方なき様ニ乱候ニ付、人々の怨気天に通し、年々地震

大塩檄文向江強「檄文について」

39
　　火災、山も崩、水も溢より外、色々様々の天災流行し、　　終に五穀飢饉に相成候、是皆天より深く御誡の有がたき　　御告に候得ども、一向上たる人々心も付す、猶小人奸者之輩、　　大切之政を執行、只下を悩し、金米を取立る手段斗に　　打懸り、実以小前百姓共のなんぎを、吾等如きのもの、草の　　陰より常々察し悲しみ候得共、湯王武王の勢位なく、孔　　子孟子の道徳もなけれは、徒に蟄居致候処、此節米価　　弥高直に相成、大坂の奉行并役人ども、万物一体の仁　　を忘れ、得手勝手の政道をいたし、江戸へ廻米をいたし、　　天子御在所の京都へは廻米の世話も不致而已ならず、五升

　

史　料	釈　文	註
38	切の政事に携候諸役人とも、賄賂を公に授受とて贈貰い　　たし、奥向女中之因縁を以、道徳仁義をもなき拙なき身　　分にて、立身重き役に経上り、一人一家を肥し候工夫而已にて　　智術を運し、其領分知行処之民百姓どもへ過分之用金　　申付、是諸役の甚しきに苦しむ上え、右の通無体之義を　　申渡し、追々入用かさみ候ゆへ、四海の困窮と相成候ニ付、人々　　上を怨さるものなき様に成行候得共、江戸表より諸国一統　　右之風儀ニ落入、天子は足利家已来別而御隠居同様、　　賞罸之柄を御失ひニ付、下民の怨、何方へ告愬とてつけ訴　　ふる方なき様ニ乱候ニ付、人々の怨気天に通し、年々地震	大塩檄文向江強「檄文について」
39	火災、山も崩、水も溢より外、色々様々の天災流行し、　　終に五穀飢饉に相成候、是皆天より深く御誡の有がたき　　御告に候得ども、一向上たる人々心も付す、猶小人奸者之輩、　　大切之政を執行、只下を悩し、金米を取立る手段斗に　　打懸り、実以小前百姓共のなんぎを、吾等如きのもの、草の　　陰より常々察し悲しみ候得共、湯王武王の勢位なく、孔　　子孟子の道徳もなけれは、徒に蟄居致候処、此節米価　　弥高直に相成、大坂の奉行并役人ども、万物一体の仁　　を忘れ、得手勝手の政道をいたし、江戸へ廻米をいたし、　　天子御在所の京都へは廻米の世話も不致而已ならず、五升

『懲畏秘録』凡例・目次/その１８/その２０

古文書館玄関へ

『懲畏秘録』 その１９

『懲畏秘録』
　その１９